購入から1年、完全に存在を忘れ去っていた映画をこれから視聴します……(本棚の一角、がくぽV3とV3 Lilyのパッケージの間に挟まれて、DVDが完全にVOCALOIDと同化していたのでした) pic.twitter.com/qELsspNYgu— 暘 弥涼🚚Hinode Isuzu (@Isuzu_Hinode) February 28, 2020
たった今、見終わった。そしてオチに対して「うそ、やん……?(混乱」って思った。— 暘 弥涼🚚Hinode Isuzu (@Isuzu_Hinode) February 28, 2020
あー、なんだろう。この肩透かしを食らった感じ。すごい、とても……フワッ( ゚Д゚)
そうだな、その……うん。とても日本映画的なクリフハンガー。これを「良し」とするかに関しては意見が分かれるだろうなぁ、と。— 暘 弥涼🚚Hinode Isuzu (@Isuzu_Hinode) February 28, 2020
ただ……自分は「これで良し」とは思わんな。せめて最後に、ワンシーンぐらい付け加えるべきだったんじゃ?
この映画に関する、ざっくりとしたストーリーおよび映画のシーンは、公式サイトを参照。Youtubeにある公式トレーラーのみ、貼り付けておく。
感想については、記事の冒頭に貼っ付けたツイート、およびタイトルの通りなのだけど。今回はもうちょっと踏み込んで書いていく。
で、先に結論を述べておくと「これは子供向けの映画だった」、それと「後半にあるチャンバラごっこのシーンが全て」。購入したDVDの中に入ってあった手書きのメモ紙(たぶん制作に関わった人が書かれたものなのだろう; 後日、画像も載せる予定)に書かれていた内容から察するに……そう判断せざるを得ないなぁ、と。
とはいえ評価できる点もある。演者の子供を含め、キャストさんらの英語が聞き取りやすいので、案外字幕がなくとも理解できます。なので、そういう面から「子供の英語学習には最適かもしれない」といえます。英語学習ついでに、小学校の道徳の授業で流してみるのも良いかもしれない。
そう。あくまでも、子供向け映画なんです。昔のディズニー映画とか、羊のショーンとか、そういった「真・子供向け」ジャンルから一歩踏み出してみたい時期の子供にお勧め。
パパとママが飲むコーヒーに憧れるけど「苦いのはイヤ~」って言ってる子供に、ちょっとだけインスタントコーヒーの粉を混ぜたココアを与えて、少々ほろ苦なちょっぴり大人気分を体感させてあげるみたいな、そういう位置付けにあるような感じの映画ですね(ごめん、うまい喩えが見つからない)。
つまり。「David & Kamal」のターゲットは大人ではないのですよ……。
事の発端および放置に至った経緯
この映画「David & Kamal」のDVDを1年前に買って、それから長いこと観ずに放置していたのには理由がある。それは買った直後にイヤな予感がして、猛烈に後悔していたからだ。
元々、この映画「David & Kamal」と出会ったのは偶然のこと。なんかの調べものをしていた時に偶然この映画の画像を見つけて、「出てる男の子が可愛いなー(※主演の男の子ふたり」という理由だけでポチッたのだ。ごめんなさい、めちゃくちゃ不純な動機でした。
この時も似たような理由でDVDを買っているが。これに関しては、後悔は1mmも無いのだけれども。「David & Kamal」というこの映画に関しては、買った後にすごく後悔していた。
何故ならば、Amazon.comのレビュー欄に「微妙」とする意見が多かったからだ。
レビューを書いているのは、文章を読む限り「小さい子供と一緒に、この映画を見た大人たち」と思われた。で、その人たちは大体「一緒に見た子供は満足してたけど、自分は特に何も感想を抱けなかった」的なことを書いているわけです。
事前に下調べをせずに買った自分が馬鹿だったんです。いつもならこんな失態しないのに!
「高校の生徒会にいる先輩がSurfaceを使ってて、それめっちゃ快適そうだったの。だからSurfaceみたいな2 in 1のパソコンが欲しい。キーボードとペン付きで、あとMicrosoft Officeもついてるヤツがいいな~(当時、たしかSurfaceは諸々込みだと20~30万円ぐらいだったと思う)」とかいう妹からのオーダーを受けたときには、全力で調べまくったのにな。オカンからの「トータルで予算は10万、最高で13万まで!!」っていう条件に縛られながらも、「2 in 1のラップトップ、かつOffice完備のWindows 10」「SSDで512GB」「Core i 5以上(流石にCore i 7は……)」「デュアルコア以上」「ペン等の必須アクセサリ附属」「未使用の新品」「13万円以内」に当てはまる品を、アウトレットのワケあり品の中から見事探し出したもんですよ!
それぐらいの下調べ能力はあるはずなんですよ、自分には。
なのに!!(絶叫
……そんなわけで、ポチッた後にめちゃくちゃ後悔したのです。この買い物を失敗したのかもしれない、と。真に金を払うべきだったのはコチラの映画だったのでは、と後悔したんですよ。なんなら今も!
そういう感じで、まあ購入したことに後悔したんですが。いざDVDが届いた時に、ちょっとだけ考えを改めた。
いかにも手作り感満載な、
David & Kamal DVDを
お買い上げ頂きありがとう
ございます!
俳優の子供たちは実際に
パレスチナとイスラエルの少年で
映画同様、最初は仲も
それほど…だったのが撮影が
すすむにつれ、二人でアドリブを
考えるようになりました。
大人の未来もそうなるとよいですね。
映画を楽しんで頂けると
幸いです。
……インディーズもののこういうところって、憎めないよねぇ……。
手書きのメモとか、そういった“人が作りました!”っていうのをモロに感じるものってさ。こう、否定的な意見が書きにくいじゃん。応援したい、って思いたくなるじゃん。
だから、否定的な意見を書くことになるだろうと予感していたからこそ、長いこと触れずにいたんだ。
だから、ああいうツイートしたり、こういう記事を書いてることにも、本当は凄く後悔してるんだよ。
でもな、嘘は書けない性分なんだ。だから、行くぜ。
「ああ、日本映画だな」と感じてしまう、中身のない作り
この映画「David & Kamal」というのは、基本的に単調なつくりをしている。
- 貧乏な現地の少年カマルが、裕福なアメリカっ子デイヴィッドから彼の宝物を盗む。
- 盗人カマルをデイヴィッドは追いかけるが、その途中でデイヴィッドは現地の不良少年グループに因縁をつけられる。
- 不良少年に追われる立場になったデイヴィッドを、見かねたカマルが助けるも。カマルは「金をくれたらお前の宝物を返してやるよ」とゆする。ゆすり続ける。
- 言い合うデイヴィッドとカマル。そうこうしてると不良少年グループに見つかる。
- カマルが街を案内しながら、デイヴィッドはカマルと共に不良少年グループから逃げる。尚カマルは、道中ずっとデイヴィッドをゆすっている。
- 以下、「不良少年グループから逃げる」→「カマルがデイヴィッドに金銭を要求する」→「不良少年グループに見つかる」→「不良少年グループから逃げる」の繰り返し。
ざっと書くと、こんな感じだろうか。
この「不良少年グループから逃げる」裏で、デイヴィッドのパパが「息子が行方不明になった、誘拐されたに違いない!」と取り乱し、イスラエル国防軍のお偉いさんである親戚に泣きつき、そんなこんなで軍が動くと、軍の別のお偉いさんが口を出し始めて、なんか陰謀絡みの誘拐事件と誤認されて、大騒動になって……みたいなストーリーが進んでいく。そんな感じの映画です。
ネタバレすると、最後にカマルは誘拐犯として捕まります。それで、終わり。捕まるシーンで終わり。その後は何もない。護送車にぶち込まれて、終わり。ひどいクリフハンガーである。アメドラ「スコーピオン」のクリフハンガーに匹敵する酷さだった。最後にワンシーンぐらい挿んでいれば、評価はもっと違うものになっていたかもしれない。
そんなこんな、このブログの中でも、そしてTwitterの中でも、定期的に「日本映画ってクソ」「日本のドラマってクソ」と言っているのが、ワタクシめでございますが。別のパレスチナ映画(パラダイス・ナウ、オマールの壁の2作)に関する記事の中でも、前に「日本映画ってクソだな」って旨を書いてたりもしてました。
同じ「つまらない映画」だとしても、まだ堅苦しいフランス映画とか、やたら難解なイタリア映画のほうが見れるって思うもの。バックボーンにある歴史とか、調べて勉強してみようって思えるし。
その点、日本の映画って「人情」だけが前面に押し出されてて、深みもくそも何もないんだよ。イイハナシダナー(白目)、で終わり。なんで、もっと掘り下げられないのだろうか。高尚な邦画()よりも、少年漫画のほうがよっぽどそこらへん出来てるぞ?
――上記リンク記事から抜粋
でね。「David & Kamal」に対するマジな感想を書くと、以前書いた↑の言葉に尽きてしまうのよ。人情だけで、深みもくそも無いの。
映画「時にひどいイタズラをするかもしれないけど、子供は無邪気でかわいい。それに大人だって、良い人はいます。だけど、偶に極端な人が居るんだよね」
観客「――……で?」
こうなってしまうのだ。
まあ一応、申し訳程度に作品のメッセージもあるけど、それはとても……薄っぺらい上に、押しつけがましい。それを子供を通じて代弁しているのだから、タチが悪い。検閲が厳しいイランでもあるまいに……。
それに映画を視聴した後で、DVDに封入されていた手書きのメモ紙を見返してみると、なんだかなーと思ってしまうのだ。「大人の未来もそうなるとよいですね」というこの一文からは、どうしても「部外者が当事者に押し付けている“道徳的正義”という名のエゴ」の存在を感じざるを得ないのだ。
……ごめんね。本当にこういうことは言いたくないんだけど。
でも、嘘は書けないんだ!
それで上記のような「日本映画クソ!」的な感想をなぜ、エルサレムが舞台のこの「David & Kamal」に対して抱いたのかと言えばそれは、脚本および監督が日本人だったから。邦画のダメさは、舞台や俳優が日本とかけ離れていようが隠し切れないんだな、ってのが「David & Kamal」からはヒシヒシと伝わってきてしまった。
脚本家のエゴが隠し切れていないんだ。これを良いと評価するかしないかで、意見はかなり分かれると思う。なお自分は良くないと感じている。
子供が主演の映画で、こんな言葉を使っていいのかは迷う。だからネタバレ箇所と同様に、アレな部分は白字にしますが……(Ctrl+Aで反転してね)。
――極端な話をしますとな。この映画は、超日本的クソジジィの自慰映画ですわ。写真家HABUこと羽部 恒雄さんの、綺麗な空の写真に「クソだせぇ」ポエムを付けた写真集となんら中身は変わらん。ジジィの自慰であり、それ以上では無いんだ。しょーもな!
以上のことから「薄っぺらな思想とエゴが見え隠れするが、致命的に中身のない映画」と評価せざるを得ない「David & Kamal」ではありますが。どうしようもなく違和感しか覚えない映画の中で唯一、素直に見れるシーンがあります。それが後半にある「主演ふたりのチャンバラごっこ」。
正しいかどうかは分からないけれど、このシーンがきっと「主演の二人が考えた、アドリブのあるシーン」なのだろうなぁ、と感じる。ここだけは大人のエゴがあまり絡んでいない、普通に楽しそうに遊ぶ男の子の映像で……ほのぼのした。この映画で唯一、観る価値がある場面というのはそこかもしれない。
最後に
以上のことから、「David & Kamal」という映画は子供にはお勧めです。主人公と同年代ぐらいの、小学校中学年ぐらいには最適だと思われます。ただし、ひねくれた大人や洋画慣れしている人にはお勧めできません。
パレスチナ映画でしたら、大人には「パラダイス・ナウ」「オマールの壁」をお勧めします。あっちのほうが直球勝負で、グッと来ます。
また記事内で触れた「イランの厳しい検閲」について遠回しに非難しながらも、その検閲下で見事描き切ったイラン映画「セールスマン」も、ひねくれた大人にはお勧めします(アカデミー賞も受賞してる映画だし、観てる人はもうとっくに観ている映画だとは思うけど)。主題が複数あって、少々内容が取っ散らかってる感も否めないものの。一つのメッセージにこだわった結果として薄っぺらく押しつけがましくなった「David & Kamal」のようにはなっていないあたり、取っ散らかっているからこそのリアリティーがある「セールスマン」には好感を持てました。少なくとも自分は、ね。
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